この記事は、お産のそばにいるあなたへ。奥さまの夫、パートナー、あるいはその日に隣に立つ方へ。

両親学級に出ても、後ろの席で途中からスマホを見ていたかもしれません。「医師や看護師がやってくれる」と思っているかもしれません。あるいは実はとても怖いのに、誰にも聞かれていないのかもしれません。

専門家になる必要はありません。読み終えたとき、当日に自分が何をできるかがわかっていれば十分です。

あなたの怖さは、自然なこと

2021 年に 13 の研究をまとめた統合的レビュー(Moran ら)によると、父親になる男性がお産でもっとも恐れているのは、順に赤ちゃんの安全、妻の安全、そして自分自身の反応でした。どうすればいいかわからなくなること、自分が持ちこたえられないことが怖いのです。その怖さは自分の中にしまわれがちで、不安がとくに強い男性の 65%が「お産について気持ちを聞かれたことは一度もない」と答えています。

同じレビューでは、父親をもっとも落ち着かせたのは二つでした。いま何が起きているかを誰かがはっきり伝えてくれること、そして具体的で明確な役割があって、自分が役に立っていると感じられることです。

2019 年の Cochrane の質的レビューにも似た描写があります。立ち会うパートナーは、愛する人が痛がる姿を見て不安になり、自分がケアチームに入れてもらえていないと感じることがあります。台湾では産前教育の多くが「ママ教室」で、父親向けのものは少なく、スタッフの言葉が中国語中心で自分に通じなければ、「ただ横に立っているだけ」という感覚はもっと強くなりがちです。

この記事でお渡ししたいもの

一枚の地図です。各段階で何が起き、奥さまが何を必要としそうか、あなたに何ができるか。暗記は要りません。出産前に一度読んでおけば、当日にいま何が起きているのかがつかみやすくなります。

分娩室で、ベッドの柵を握る産婦さんの手に重ねられた手。
撮影:Hannah Barata/Pexels

まず、奥さまに聞く:どんなパートナーでいてほしい?

必要としている支えは人によって違います。ずっとそばでマッサージをして話しかけてほしい人、静かに手を握っていてくれるだけでいい人、医療スタッフとのやりとりを任せて自分はお産に集中したい人。

これは分娩室に入ってから知るのでは遅いことです。出産前に一晩、一緒に話してみてください。

  • 痛いとき、私が触れたほうがいい? それとも触れないほうがいい?
  • どんな言葉だと安心できる? 聞きたくない言葉は?
  • 痛み止めや無痛分娩についてどう思う?
  • 先生が何か処置を提案したとき、私はどう聞いてあげればいい?
  • 産んだあと、誰にいつ来てほしい?
  • いちばん心配なことは何?

答えはお産の途中で変わることもあります。それも自然なことです。答えを覚えておくよりも、「まず聞く」習慣のほうが役に立ちます。

お産の地図:各段階であなたにできること

おおよその流れです。お産は一人ひとり違い、実際の状況は医師・助産師の判断が優先されます。

  1. 分娩の初期陣痛が規則的になる。まだ話したり歩いたりできる

    この時期は長いことが多いです。休んだり、食べたり飲んだりを手伝い、陣痛の間隔と長さを記録し、病院の指示に従って出発の時期を決めます。あなたの落ち着きが、奥さまの落ち着きになります。

  2. 活動期陣痛が強く、間隔も短くなる。話せなくなってくる

    話しかけるより、そばにいることを大切に。姿勢を変えるのを手伝い、腰を押し、温めます。陣痛が終わるたびに水を一口すすめ、肩の力を抜くように声をかけます。楽になるやり方が見つかったら、それを繰り返してあげてください。

  3. 移行期いちばん激しい時期。「もう無理」と言うことも

    その言葉は、もうすぐだというサインのことがよくあります。理屈で説得しようとしなくて大丈夫です。「できているよ」「ここにいるよ」と伝えてください。あらかじめ無痛分娩も選択肢と話していた場合は、ここで気持ちが変わることもあります。その気持ちを尊重してあげてください。

  4. いきみと誕生赤ちゃんが降りてくる

    スタッフの指示に従い、耳元で名前を呼び、見えている様子を伝えます。生まれたあと、可能であればカンガルーケア(肌と肌の触れ合い)を手伝います。そして、二人の姿をしっかり見てあげてください。

  5. 産後の数時間胎盤が出て、母子が休む

    水や食事を用意し、初めての授乳の姿勢を手伝います。早すぎる連絡や面会は控えてもらい、まずゆっくり休ませてあげてください。

3R:奥さまのリズムを守る

アメリカのドゥーラの先駆者 Penny Simkin は、多くの産婦さんを観察して、覚えやすい原則をまとめました。3R:リラックス(Relaxation)、リズム(Rhythm)、儀式(Ritual)です。お産をうまく乗り越える人は、陣痛の合間に力を抜き、陣痛のあいだは体を揺らす、呼吸する、声を出すなどのリズムを見つけ、安心できる小さな動作を何度も繰り返します。それがその人の「儀式」です。

あなたにできるのは、見つけたリズムを直さずに守ることです。陣痛のたびに同じ場所を同じ強さで押してほしい、同じ言葉をかけてほしいと言うなら、最後まで続けてあげてください。「手伝おう」として、せっかく見つけたリズムを誰かが途切れさせてしまうことがいちばん避けたいことです。

台湾の病院で、どう声をかけるか

台湾の帝王切開率は約 36〜38%で(日本は約 2 割)、多くの処置は病院の標準手順です。陣痛の最中は話すのが難しいので、あなたが事前に決めていた希望を穏やかに伝えてください。スタッフはあなたたちの味方です。

言葉について。台湾の分娩室は中国語が基本で、英語や日本語を使うことに慎重なスタッフもいます。当日までに簡単なフレーズを準備し、病院選びの段階で、日本語や英語ができるスタッフがいるかを確認しておくと安心です。中国語がわかるドゥーラが付き添えば、いま何が話されているかをお伝えし、ご質問を然るべき人に届けるお手伝いができます。大切な判断や同意については、病院側からも直接説明を受けてください。

スタッフが何かの処置を提案したら、穏やかにこう聞けます。

  • その処置のメリットは何ですか?
  • 考えられるリスクは何ですか?
  • ほかの選択肢はありますか?
  • 少し待ったらどうなりますか?

そのあとで、奥さまに向き直ってください。決めるのは奥さまです。あなたの役目は、奥さまが理解できているか、考える時間があるかを確かめることです。本当に緊急の場合はスタッフがそう伝えます。そのときはチームを信頼して、そばにいてください。

台湾の病院は、立ち会える人数や分娩室に入れる人の決まりがそれぞれ違います。予定日よりずっと前に確認してください。台湾での出産の仕組み全体は、台湾で出産する — 日本人のための調査ガイドにまとめています。

ご自身のことも、忘れずに

お産は十時間以上かかることもあります。お腹がすいて、疲れて、慌てていると、落ち着いてそばにいるのは難しくなります。

  • 自分用の軽食と水をバッグに
  • スマホの充電器と延長コード
  • 奥さまが休んでいるあいだに、自分も十分ほど目を閉じる
  • 席を外すときは、先に伝える
  • ドゥーラがいるなら、交代でそばにつく
  • 怖いときは、そう言って大丈夫

あなたの気持ちにも居場所があります。出産のあと、あの日の光景が頭の中で繰り返されて眠れないときは、誰かに話してみてください。

赤ちゃんに顔を近づけて笑い合うお父さん。
撮影:Ксения/Pexels

付き添ってきた夫たち

よく覚えている場面があります。夫がスマホを置いて、奥さまのそばにしゃがみ込み、少し不器用に額の汗を拭きながら、「すごいよ」と何度も言っていました。

前もってはみなさん、とても慌てていました。出産前に一晩、奥さまと話し合って、少し資料を読んでおいた夫は、分娩室で手をどこに置けばいいかがわかっていました。

Book

もう少し備えたい方へ:The Birth Partner

Penny Simkin と Katie Rohs の著書で、多くのドゥーラ養成課程で使われています。妊娠最後の数週間、お産の各段階、医療的な処置、産後の数日まで、お産を支える人に向けて書かれた一冊です(英語)。この記事の 3R は、彼女がまとめた原則です。

ご夫婦で一緒に準備したい方は、伴走プランの両親学級、またはドゥーラは本当に必要?をご覧ください。

よくあるご質問

血が苦手で、倒れてしまいそうです。それでも立ち会えますか?

立ち会えます。多くの夫がその心配をしています。奥さまの頭のほうに立って顔を見ていれば、下のほうを見る必要はありません。気分が悪くなったら座って、看護師さんに伝えてください。出産前に、その心配を奥さまに話しておくと、思っているより受け止めてくれることが多いです。

産前のクラスに出ていません。それでも役に立てますか?

立てます。いちばん大切な三つは、クラスがなくてもできます。奥さまが何を必要としているかを聞くこと、奥さまが見つけたリズムを守ること、話せないときに代わって確認してあげることです。時間があれば、夫婦で一、二回クラスに出ておくと、当日はずっと落ち着けます。

すでにドゥーラがいます。私は何をすればいいですか?

あなたたちは一つのチームです。ドゥーラがいま何が起きているか、どう手伝えばいいかを伝え、あなたが休んだり食べたりする時間も作ります。奥さまがいちばん必要としているのは、そばにいるあなたであることが多いです。ドゥーラはお二人を支えます。

中国語ができません。どうすればいいですか?

簡単なフレーズを事前に準備し、言語サポートを文書で明記している病院を選び、中国語がわかる人にそばにいてもらうことも検討してください。私は医療通訳の資格者ではありませんが、お産のあいだ「わかる・伝わる」ためのお手伝いはできます。大切な判断については、病院側からも説明を受けてください。

主な出典

  • Moran E, Bradshaw C, Tuohy T, Noonan M(2021)The Paternal Experience of Fear of Childbirth: An Integrative Review. Int J Environ Res Public Health 18(3):1231(PMC 全文)
  • Bohren MA ほか(2019)Perceptions and experiences of labour companionship. Cochrane, CD012449(要約)
  • Simkin P. The 3 Rs in Childbirth Preparation: Relaxation, Rhythm and Ritual(Penny Simkin 公式サイト)
  • Simkin P, Rohs K. The Birth Partner(第 5 版)
  • 台湾の帝王切開率:衛生福利部統計処(リンク)

ヘッダー写真:Arteida MjESHTRI/Unsplash

本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言ではありません。お産の最中の実際の処置は、医師・助産師の判断が優先されます。

著者について — Milliya(ミリヤ)は、ドゥーラ(出産付き添い)、独立出産コンサルタント、EmbodyBirth™ 認定講師、女性のための統合コーチです。中国語・英語・日本語で活動しています。二度のやさしいお産を経験し(第一子はドイツ・ブレーメン、第二子は台湾の自宅)、台北(北投)と日本(神奈川県逗子)、そしてオンラインで活動しています。活動について →
2026 年 10 月 22 日 公開

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